IT人材不足―ビジネスとITをつなぐ人材とは?

「IT人材が足りない。」
そんな声があらゆる業界から聞こえてきます。
でも、その足りないとされているのは、エンジニアの数なのでしょうか?
ITエンジニア、プログラマー、セキュリティ専門家、データサイエンティスト…。確かに、どれも重要な人材です。
しかし、IT人材不足が叫ばれる背景には、単に「技術ができる人が足りない」だけではない別の課題が潜んでいます。
今回は、今本当に必要なIT人材について解説いたします。
本当に必要なのは“業務とITをデザインする人材”
多くの企業が「IT人材」をこうイメージしています。
もちろん、これらは不可欠です。しかし、「IT人材不足」の本質は、そのスキルセットだけでは解決しません。
真に求められているのは、以下のような人材です。
つまり、「業務とITを組み合わせ、デザインする人材」です。
なぜ今、そういった人材が求められているのか?
たとえば、こんな失敗例はないでしょうか?
- 売上を上げたいのに、なぜかワークフローシステムを導入してしまう
→業務効率化が先に来てしまい、本来必要だったマーケティングや営業強化への投資が後回しに - コスト削減を目指したのに、高額なCRMを導入して逆に費用が増大する
→有名なメーカーの製品であれば信頼できると思い込み、十分な費用対効果を得られるか検討もないまま導入 - 課題が「受発注の遅延」なのに、「営業支援ツール」を導入してしまう
→ボトルネックとなっている本来の課題が解決できず、十分な成果を得られない
これらはすべて、「経営戦略・IT戦略」と「IT導入」の目的がズレている」ことが原因です。
なぜズレが生まれるのでしょうか?
- エンジニアは「システム」には詳しいが「業務」には詳しくない
- 現場は「業務」には詳しいが「IT」には詳しくない
- 経営層は「ビジネス戦略」には詳しいが「IT」には詳しくない
その結果、「システムは動いているが、ビジネスは動いていない」状態が生まれるのです。
このズレを解消できるのが、「業務とITをデザインする人材」です。
こういった人材は、次のような役割を果たします。
例えば、営業部門が新しいCRM導入を決めたが、業務プロセスの整理をせずに進めた結果、現場の混乱が増え、逆に効率が落ちてしまった。
もし、ITと業務の両方を理解する人材がいれば、導入が最適解かどうかを見極め、業務プロセスの最適化までリードできるでしょう。
しかし、こうした視点を持つ人材は、市場に多くなく、また引く手あまたのため、簡単に確保できるものではありません。だからこそ、今いる人材の中で、この視点を持つ人を育てることが重要です。
エンジニアと現場の間にある“仕様の壁”
とはいえ、育成するのもそう簡単にはいきません。
エンジニアは職業柄、職人気質な性格で、「仕様が決まれば作る」というスタンスの人が多いです。
一方で、現場社員はITに苦手意識を持ち、「どういう仕様にすればいいのかわからない」という状態になりがちです。
とある企業にて、新システム導入の場面でこんなことがありました。
エンジニアは「結局、どういう仕様にしたいんですか?」と聞く。一方、現場側は「そもそも何ができるのか分からない」ため、具体的な要件をうまく伝えられない。
結果、「とりあえず現状の業務フローをそのままシステムに落とし込む」という流れになり、本質的な業務改善には繋がらなかった。
現場社員もエンジニアも様々な背景や職務上の考え方がありながらも、「業務の課題は何か?」を整理し、それをITでどう解決できるかを設計する人材にまで引き上げる必要があります。
一筋縄でいかないことは明白でしょう。
ただ、この役割ができる人材が社内にいないと、IT導入が単なる現状維持の仕組みになり、競争力を高めるどころか、かえって非効率な運用に陥ることもある。
逆に、この視点を持てる人がいれば、競合よりも頭一つ抜けるチャンスになります。
IT人材不足の本質
いかがでしたでしょうか。
IT人材不足は、単に「プログラムを書ける人がいない」という話ではありません。
「ビジネスを理解し、ITで解決できる人が足りない」のです。
今、社内にこの視点を持つ人材がどれくらいいるでしょうか?もし不足していると感じるなら、どのように確保していくべきでしょうか。
育成できれば理想ですが、簡単なことではありません。
特に、ビジネス理解とIT理解の両方を兼ね備えた人材を育てるには、時間も経験も必要です。
社内で育成するのか、それとも別の方法を考えるのか。
その選択が、企業の競争力を左右するかもしれません。
今回の記事では、今本当に必要なIT人材についてお話いたしました。
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