なぜシステム開発は失敗するのか?—発注側の関与が成功の鍵

なぜシステム開発は失敗するのか?—発注側の関与が成功の鍵

株式会社Backpedal バックペダル コラム システム開発 訴訟 難しさ 顧客が本当に必要だったもの

「大手ITベンダー会社、システム開発依頼元の◯◯企業から◯億円の訴訟!」

システム開発ではよくある話です。
これが企業規模の小さい会社ならまだしも、大手ITベンダーや大手ITコンサルティング会社であっても訴訟されるケースも珍しくありません。

なぜ業界大手である企業に開発を発注しても、システム開発は失敗するのでしょうか。
失敗するその裏には、どんな背景があるのでしょうか。

今回は、システム開発が失敗する理由と、発注側が知っておくべき落とし穴について解説していきます。

大手IT企業でも訴訟が発生してしまう現実

なぜ大手IT企業でも訴訟が発生してしまうのでしょうか。
過去には、大手ITベンダーと発注企業との間で100億円規模の訴訟が発生した例もざらにあります。

こうした問題は、発注側と開発側の認識のズレが引き起こすことが多いです。実は、“大手だから安心”ではなく、システム開発には構造的な難しさがあるのです

何が難しいのかと言うと、

  • 完成形が最初から見えない
  • 発注側と開発側の“イメージのズレ”が生じやすい
  • 開発期間が長く、途中で要望が変わることがある
  • 途中で“本当にこのままでいいのか?”が分かりにくい
  • 後から修正が発生すると、莫大なコストがかかる
  • 発注側と開発側の知識に大きな差が生じやすい

といった点が挙げられます。

“大手だから安心”ではなく、そもそもシステム開発自体が難しいため、開発が失敗してしまうのが現実です。

では、システム開発の失敗は、開発側だけに責任があるのでしょうか。

システム開発特有の難しさ

システム開発特有の難しさを表す絵を紹介します。

株式会社Backpedal バックペダル コラム システム開発 訴訟 参考文献 顧客が本当に必要だったもの
参考文献:https://www.pixiv.net/artworks/98603591

これは、それぞれの立場で考える「必要なもの」のイメージがまったく異なってしまっているという風刺画になります。そして、左端上「顧客が説明した要件」と、右端下「顧客が本当に必要だったもの」が異なる。つまり、顧客自身も本当に必要なものを描けていない、説明できていない、というのがこの風刺画のポイントです。

この風刺画はジョークではなく、実際のシステム開発で頻繁に起こる問題を表しています。「顧客が説明した要件」と「本当に必要だったもの」が異なるのは、発注側が“何を求めるべきか”を明確にしないまま開発が進むからだと言えます。
システム開発の失敗は、開発側だけではなく、発注側にも責任の一端があるのです。

発注側が知っておくべきポイント

システム開発の成功を左右するのは、要件定義の精度です。
この段階で「どんな機能が必要か」ではなく、「どんな成果を実現するシステムなのか」を明確にできるかがカギとなります。

例えば、
❌「売上データをレポートにまとめるシステムが欲しい」
✅「営業が次のアクションを判断しやすいよう、売上データを自動分析し、異常値やトレンドを可視化する仕組みが欲しい」

このように、「何を実現するか」を具体的に言語化することで、開発側との認識のズレを防ぎやすくなります。

また、開発が進む中で要件が変わることもあります。
そのため、発注側も「システムがどう動くか」を確認しながら、開発プロセスに積極的に関与することが求められます。

いかに自分事で考えるかが重要

システム開発を成功させるには、発注側が「納品されるのを待つ」のではなく、積極的に関与することが不可欠 です。

どんなに優秀な開発会社に依頼しても、「この機能を作ってほしい」と伝えるだけでは、本当に必要なシステムにはなりません。
「何のためのシステムなのか?」を発注側自身が深く考え、開発側と二人三脚で進めていくことが、成功への鍵となるのです。

それでもシステム開発は難しい

どれだけ入念に準備をし、発注側と開発側で綿密なコミュニケーションを取っても、微妙なニュアンスや認識のズレは発生してしまうものです。
そして、 そのズレが命取りになることもあるのが、システム開発の怖さです。

しかし、だからといって準備やコミュニケーションが無駄になるわけではありません。
可能な限り失敗を防ぐために、ズレを最小限に抑える工夫 をしていくことが大切です。


今回の記事では、システム開発が失敗する理由と、発注側が知っておくべき落とし穴について解説いたしました。

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